2006-09 Cycle Oregon XIX 2006 Day 4
Sumpter to Union




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お化けの街Sumpterを後にして、前日気持ちよく下ってきた道を今度はゆるゆると登って引き返していきます。Sumpterの街に寄航させるべく来た道を戻るコース取りなんですね。昨日ランチ場所だったGraniteの街がこの日最初のODS(rest stop)となりました。(あ)さんが小耳に挟んだ情報によると、このGranite、電話が通じたのがようやく3年前で、郵便は現在も週に3日しか配達されないんだとか。詳細な住所もなく、「Graniteの誰それ」で届くとのこと。そんなオレゴンの奥地を走ってるなんて!ODSでおやつをパクパクおなかに収めながらコースマップと睨めっこ。そう、この先グイーッと勾配が上がり、標高7,398feetのAnthony Lakeまで上がらなけりゃランチにありつけないのです。全身が筋肉痛コチコチの私にはとっても無理と判断し、ワゴンに乗車して厳しい上り(約25mile!)をスキップしてしまうことになりました。 「オレゴン州内の舗装された道で一番の勾配を誇る道 by(あ)さん情報」をワゴンに揺られつつ見ていると、やっぱり上れなかったに違いなく、ワゴン選択は間違ってなかったはずと思い込むことにしました。急勾配のカーブをニコニコ顔で攻めてく健脚なサイクリスト達。すご過ぎです。途中、ワゴンは山火事の焼け跡が生々しい現場を通り抜け、ほとんどのサイクリストを追い越してAnthony Lakeで降ろされました。ぶらぶらと湖を散歩し、湖畔沿いに腰掛けて少し早いランチをしていると、続々と上がってきた集団の中に、まきさん、もりさん、新井さんの姿をみつけました。平野さん、いいづかさんも合流してダウンヒルに入ろうかというところでまたもや白髭のワゴン隊長さんと出くわし、「ポジションチェックは終えたのか?」の優しくも無言の鋭い視線を頂戴してしまいました。スイマセン、今晩必ずや・・・。

山火事警報発動中(というよりも実際に燃えて白煙が上がってたし)の箇所をいくつか潜り抜け、豪快にダウンヒルをこなして山を降り、下り基調の気持ちの良い道を軽快に飛ばしていきます。どの方面にカメラを向けても絵になる風景が広がり、足は回転させたままシャッターを夢中で切り続けました。牛がのんびりと草を食む様子を遠くに眺めていると、ああ、来て良かったなぁと心から思うのでした。

North Powderの街に入り、この日2回目のODS(rest stop)で穏やかな風に吹かれながら甘いスイカや数々のスナックを口にし、皆でしばし寝転んで身体を休めました。このまま平和に安穏と終わらないのがCycle Oregon!ここからの残り約20mileが想像を絶する厳しい道のりで、向かい風と横風に煽られながら、ひたすら茶色の丘を縫って突き進む行程(長い長い上りだし)が用意されてたのです。平行して線路が走り、のんびり行く貨物列車に目を奪われながらも歯を食いしばって足を回転させます。急遽設定されたらしいWater Stopで水分補給し、日本から持って来た梅干しと柿ピーで元気を補充します。道がようやく下り基調になって、街らしい風景が始まるとそれが待ちに待ったキャンプ地Unionでした。

キャンプ地に入ると真っ先にBike Garallyに向かい、素敵なお兄さんを捕まえて、私と(あ)さん、まきさんの3人が念入りにポジションチェックを受けました。自転車を引きずるようにしてテント場所にやってくるとこの日もなんとボコボコ地面に自分達のテントが張られてて、涙涙涙。「ボランティアの奴らひど過ぎるぜぇ〜」とお隣さん達と相談した結果、自分達で急ぎ平地に設営し直しました。



Sumpterの街を抜けて、昨日下ってきた道を登る。出発して5分と経たないうちに峠を登り始めるのはスロースターターにはツライ。


補修用タールの跡が段差となり、登りの低速走行を走りにくくさせた。


Blue Springs峠の頂上がWater Stopになっていた。期間中毎日声を交わしているアラスカ州Anchorageから来たBike Friday乗りの健脚ご夫婦と記念写真を撮ってもらう。


峠を下ったところの昨日昼食をとったGraniteにレストエリアが設置されていた。 休憩しながら検討をした結果、標高7,398feetのAnthony Lakeまでの行程をSAGワゴンに乗ってスキップする決断をした。(日記参照)


Anthony Lakeにはかなり早く到着してしまった。^^; SAGワゴンから自転車を下ろしてもらう。


自転車を停めて、木々の向こうに歩を進めると、絵に描いたような風景が目の前に現れた。


ランチの”配給”。この日のバーベキューサンドイッチはなかなか美味しかった。



バ-ベキュー用トレーラーで焼いた牛肉を、仕上げるのはピックアップトラックの荷台上で!



自走でAnthony Lakeまで登ってきたまきさん、もりさん組のタンデムと同時に下り始める。長くて傾斜がきついダウンヒルを予告する、タイヤとブレーキのチェックを喚起する看板が掛かっていた。



途中見晴らしのいいレストエリアに自転車を停めて、下界の風景を堪能しながらダウンヒルを駆け下るサイクリスト達を眺めて休憩を取る。


ちょっとクラシックなトラックは(た)のお気に入り。遠方の山間から山火事の煙がもうもうと立っていた。


西部劇に出てくるような大草原の風景に思わず溜息が出てしまう。しばらく立ち止まって眺める。


車上からパシャパシャ写真を撮っていたら、陽気なアメリカンが追い抜き際に「俺撮れ俺撮れっ!」とポーズ。


North Powderの街でレストストップ休憩を取る。Bagdad Cafeを思い出させる風景に出迎えられる。


日陰に涼しい風、深緑の芝生、そして用意されたフルーツは至福のひと時を作り出す。芝生にごろんと寝転ぶと、もうこのままここで一日を終えたくなってしまう、そんな気持ちのいい場所だった。


North Powderの街を抜けてしばらく線路と併走する。強い日差しに加えて、逆風も強くなってきた。


あと10マイルでキャンプサイトとの事だが道の先にはそれらしいものは見当たらず、荒野の中をひた走る。まきさん、もりさんのタンデムに引っ張ってもらう。


思いがけない逆風と炎天下のために、急遽ウォーターストップが設置された模様だ。


ランデブー走行のおかげでいいペースを維持できて、Unionにも比較的早く到着できた。


いつものChocolate Milkで乾杯!


ゴールしたその足でBike Galleryに向かい、昨晩やってもらいそびれたBike Fittingをしてもらう。念入りなポジションチェックにまたまた感激。(た)(あ)共に最適ポジションを得て、翌日以降が楽しみとなた。

Bike Fitting...

Cycle Oregon 2006ではPortland大手のサイクルショップであるBike Galleryが一団に帯同して、ルート上ではODS(休憩ポイント)で自転車のメンテナンスを、各キャンプサイトではメンテナンスに加えて物品販売(パーツからウエアまで、キャンプ場での出店にしてはかなり豊富な品揃え)を行なっていた。そしてもう一つ、10ドルでポジションチェックをしてくれるBike Fittingサービスをやっていた。@nakの二人は三日目の時点で膝痛、筋肉痛にずいぶん悩まされていたのだが、Bike Fittingを受けて気に解消、凄く助けられたのだった。

Fittingを受けようと思ったきっかけは、走行中の(た)を観察していた役員に「シートが高すぎるんじゃないか?ちゃんと見てもらいな。」と何回か声を掛けられた事だった。(た)は違和感を感じていなかったのだが、「何度も言われるんだから、何かおかしいのかもしれない、気が向いたら受けてみるかー」と軽い気持ちでいた。そこに訓子さんが3日目に膝痛を発症して、Fittingを受けてポジションを見直したいというので、それに乗じてタンデム3台が大挙してその晩Fittingを受けに行った。その晩は既に夜遅かったので、訓子さんのみがFittingを受けたのだが、その親身で理に適った対応ぶりにすっかり感心してしまい、是非受けてみたいと4日目の走行後に、(た)、(あ)、まきさんの3名がゴールからFittingコーナーに直行してFittingを受けたのだ。

結論からいうと、(た)はクリート位置調整、シート高上昇、ハンドルを前方に移動、そしてライディングポジションの矯正、(あ)はクリート位置調整、シート高上昇、そしてライディングポジションの矯正を受けた。まきさんは...なんだったっけ?(そう、実はシート高が高すぎたのは(た)ではなくて、訓子さんだったのだ。) 調整内容はともかく、自分が感心したのはその対応方法である。一方的に「正解」を突きつけられてポジションを決め付けられるのではなく(今までそういう先入観を抱いていた)、非常にインタラクティブな形でFittingが行なわれるのがすばらしいと思った。Fittingとは一種の治療なのだと思わされた。(事実、初日~二日目はひやかしでfittingを受ける人が多いが、三日目以降は膝痛や腰痛を訴えてポジション調整を求めてくる人が一気に増えるそうだ。)

Fittingはまず、どこがどう痛いのかという問答から始まる。多くの会話を経てライダーが抱えている問題を把握したしたのちに実際のFittingがはじまる。といっても、自転車に乗るのはまだで、まずはシューズの調整だ。母子球の位置に合わせたクリートの位置調整を丁寧に行なって、クリート調整をしてもらう。自分では合っていると思っていても、案外ずれているものだ。受けた人間全員がなんらかの調整を受けたように記憶している。 クリート位置が決まったら自転車に跨って、ペダリング中のポジションを見てもらうのだが、これが2~3人掛かりの作業で、(た)さんなどは左右と後ろから3人が観察してくれていた。3人に囲まれてあーでもないこうでもないと語られるのはちょっと恥かしいが(笑)、彼らは真剣である。膝の位置やペダリング姿勢を観察され、ハードウエアの必要な調整が行なわれていく。採寸は一切ないというのが面白い。「同じ身長と体重、手足の長さの人間が何人かいても、ポジションは全員違うはずだ。(対応表に書かれるような)一方的な寸法はナンセンスなんだ。」という言葉がとても印象的で、画一的な位置出しではなく、個人の身体的特徴を考慮したFittingを大事にしていた。調整とペダリングが繰り返される中でも「違和感はありませんか?問題があったら即刻元に戻してください。」という言葉が繰り返されるのも正解重視よりも、ライダー主体のFittingを大事にしている姿勢を強く感じた。 個々の身体的癖に応じた対処療法も実にユニークであり、常識にとらわれない的を射たものに思えた。膝が内側に入ってしまうペダリングに対処すべく、シューズとクリートの片側にスペーサーを噛ませてペダルに載せた時のSPDシューズを外に傾かせる矯正や、片側のペダル(取り付け部)にのみスペーサーを噛ませてQファクターの調整を行なう、といった対応は身体の特徴(人間かならずしも左右対称じゃない点)を素直に捉えた、素人目にも理に適った対策にみえた。

こうやって一人につき、30分~1時間ほど掛けて、丁寧に行なってくれたFittingであるが、Bike Fittingという言葉が示すように、人間が自転車にポジションを合わせるのではなく、自転車を極力人間に合わせてFittingするというスタンスを強く感じた、いい経験になった。 今までフィッティングサービスを経験したことがないので多くは語れないが、そもそも自転車を持ち込んで、ここまで親身にfittingを行なってくれるサービスは日本にはないだろうし、あったとしても今回受けたサービスほどインタラクティブではない(貴方の寸法だったらこのポジション、と一方的に押し付けられる気がする)気がする。治療としてフィッティングを考えてくれるサービスは、なかなかないんじゃないかな。

フィッティングの翌日以降、(あ)の膝痛、(た)の筋肉痛が見事に解消して、噂の好走(?)に繋がったのは言うまでもない。すばらしいサービスだった。





September,2006- Oregon,USA
Pentax Optio 33WR

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