2006-09 Cycle Oregon XIX 2006 Day 2
Heppner to Starkey




This page contains 2 byte (Japanese) characters

Cycle@nak HOME
CycleReport 2006

[NEXT ->]




寝袋に潜り込んでから目が覚めるたび、外気温が急激に下がっていくのが分かりました。寝袋から出した顔が寒さに強張るのを感じ、狭い寝袋の中に縮こまるようにして朝を迎えました。出掛けにユニクロのフリースのロング靴下をスーツケースに詰めてきて本当に良かった。今回の旅では大活躍で、サイクリングの時にもテント生活時にも気軽に脱着できて暖かで、洗ってもすぐに乾いて便利でした。

そんな朝、朝食用テントに向かうと、昨日まで短パン&Tシャツだったアメリカ人達もさすがにフリース等を着込んで寒さ対策をしているように見えました。この日から日を重ねるごとに標高が高くなり、重装備も増していくのでした。皆でお揃いのウィンドブレーカーに身を包み、今朝も7時前後にスタート。朝から緩やかなヒルクライムが用意され、昇る朝日と山間の景色を楽しみつつ上っていきます。後ろから次々とサイクリスト達に追い越されていきますが、必ず”Good Morning!”あるいは、“Welcome to Oregon!”と声を掛けてくれます。私達も元気良く声を張り上げ、挨拶に応じます。日本からきたサイクリストと分かるや片言の日本語を語りかけてくる人も相当数いました。午前中のヒルクライムで既にアップアップ状態の@nak。Ukiahでランチしながら残りの行程と自分達の体力について真剣に検討します。潔くサグワゴンに乗ることで意見が一致し、平野さん、haiさん、いいづかさんと共に峠の頂上まで約20mile(32km)、ワゴンに乗せてもらうことになりました。ワゴンに揺られてる間、酷暑の中走ってる参加者を見て心が痛んだりもしましたが、同乗者達と会話が弾んで楽しかったのでこれはこれで良い思い出となりそうです。そんな時、真っ白髭を顔全体に蓄えたワゴン隊長?さんから、「君はお尻フリフリになってるよ。サドルが高いようだから、BikeGallaryでフィッテッィングしてもらいなさい。」と声を掛けられました。特にポジション問題を感じてなかった私は、「本当に私のこと?」なんて思ったりして。

下り基調の道のりを走ってキャンプ地Starkeyに到着したのは午後5時を過ぎてたでしょうか。この日のキャンプ地は荒地の埃っぽい場所(放牧地か?)でしたが、到着したら既にテントが設営されてるのは何よりも有り難い。シャワーのタンクが空になって給水車待ちしたり、お湯が出たり出なかったりする不便さもきっと良い思い出となるはず。夜中にトイレに立つ回数も次第に減り、パッキングも手早くなって、自身がキャンプ生活に馴染んでいくのが分かりました。




毎朝配布されるCycle Oregonianを読みながら朝食を食べる面々。

Cycle Oregonian...Cycle Oregonの期間中、毎朝朝食の列に並んでいると配布されるのがCycle Oregon発行の新聞 : Cycle Oregonianである。A5サイズ程度の紙面で8ページの小冊子には、その日のコース説明、天気予報、食事のメニュー、前日のライド写真、当日晩のキャンプサイトでの催し物、期間中の出来事の特集記事といった内容に加えて最後のページには参加者が投稿できる三行広告(メッセージ)欄まで掲載されている。

察しのとおり、天気予報や前日の写真、それに参加者参加型の三行広告(メッセージ)欄があるのだから、この”新聞”はイベント前にあらかじめ用意されているものではなく、毎日(どこかで)編集されて、印刷準備されるものなのだ。素晴しい!

毎朝6時頃、寒い中食堂テントで朝食を食べながらこのCycle Oregonianに目を通しては、あーだこうだと会話するのが期間中の日課になっていた。これから走るコース内容を推測しながら一喜一憂(「"gentle"なclimbingって一体どれくらいなのよ?」「meandering streamsって何?」「今日はelkやcoyoteに会えるらしいよ、SAGワゴンに乗ったら見れないぞー」とかとか。)したり、昼食、夕飯のメニューで盛り上がる(今日もチキンがおいしそうだからvegitarianの看板を下ろそう、とか)といった会話を交わしながらコーヒーを啜っていたのが早くも懐かしい。 個人的には三行広告を好んで読んでいた。期間中に誕生日や結婚記念日を迎える人へのお祝いメッセージはもちろん、個性的で思わず笑っちゃう求人広告もあり。

等々。 期間中に立ち寄ったUkiahという街は街名を逆に読むとhaikU...「俳句」と読めるということで、紙面上で俳句コンテストも行なわれた。

期間中に配布されたCycle Oregonianは、オンラインで公開されている。 英語の俳句がどういうものか、見てみたい人は、直接Cycle Oregonianを覗いてみるべし。


午前7時頃、スタート地点(キャンプサイト入口)にて出発前の準備中。確かhaiさんがスローパンクの修理中だったような気がする。


出発後、すぐに登坂が始まって、早速アウターフリースを脱ぐために一時停止する。朝日に映える眼下のサイクリスト達がいい画になっている。


緩やかな登坂を経て本日最初のレストストップに到着。空気はまだ冷たいが、日差しは暑い。停止すると汗が冷えて寒く、体温調整が難しい。


本格的なヒルクライムが始まる。緑が多い山の中で気持ちいいが、傾斜がある程度ある長い坂をひたすら登る。


午後2時前に昼食場所であるUkihaに到着。暑さと空腹でエンジンがオーバーヒート気味。


Ukiha中心の街並み。大半のライダーが出発した後は実にのどかであった。サイクリストがクールダウンできるように放水が行なわれていて、陽気なサイクリスト達はがその中を通過して水浴びしながら午後のルートへと出発していた。中には何往復もしてびしょ濡れになっている人もいた。


実は街並みの写真はSAGワゴン待ち中に撮ったもの。午後のルート(走り始めの登坂)を一部SAGワゴンで乗って楽することにした。

SAG Wagon...Cycle Oregonではアップダウンに富んだルートを連日100Km以上走ることになる。バイクフィッティングサービス(これについては後日書く予定)の担当も言っていたが、2日目以降になると膝痛や腰痛を訴えてライディングポジションの指南を受けにくる参加者がどんどん増えるらしい。体力の消耗や日に日に傾斜のキツい峠など難易度が上がるコースに音を上げる参加者も増えてくる。最初から峠は走らない、と決めて参加するライダーもいる。コース上で自転車の故障も発生する。

そんな走れない、走らない、走りたくないライダー(と自転車)を回収して運んでくれる回収車、SAGワゴンが毎日コース上を行き来している。今回はSAG1からSAG7まで、7台のSAGワゴンがライダーのサポートとして毎日ルートを行ったりきたりしてライダーを回収していた。後方から抜いていくSAGワゴンに向かってthmbs down(親指を下に向けてNGの意思表示)をすると、席が空いていれば止まって回収してくれる仕組みだ。休憩やパンク修理などで立ち止まっていると、立ち止まって様子を伺ってくれる。問題なければThumbs upで意思表示を行う。自転車はバンの屋根に設置されたルーフキャリアか、前後のサイクルキャリアに固定される。乗車定員は9名、自転車は屋根に6台、前後に2台ずつ車載の計算だ。

SAGワゴン毎に追い抜いていくライダーを励まし、楽しませるべく嗜好を凝らしているのが何ともアメリカ的で、楽しかった。Simpsonsの子供を”乗せた”SAG1、Kermit the Frogを前面に従えたSAG5、外付けのスピーカーを装着して大音量で音楽を流しながらライダーの横を通過していくSAG4、大量のシャボン玉を飛ばしながら走るSAG7と様々だ。一週間も走行を共にしていると、音楽が聞こえてくると「あ、SAG4接近中」「KermitのSAG5が通過!」といった感じでSAGを見分けられるようになる。

タンデム自転車が果たしてSAGワゴンに車載できるのかと心配したが、屋根のキャリアを前後2台分占有して固定していた...ということで、我々もエンジン(脚力)が音を上げて今回は2回程、このSAGワゴンを利用して登り坂を楽させてもらった。自走を放棄した無念さと罪悪感で通過していくライダー達を車内から眺めながらチクっと心が痛んだものの、Cycle Oregonを楽しむ為には無理して走ってヘトヘトになるよりは、適切な判断だったと思う。乗車メンバーの間には妙な連帯感が生まれ、和気藹々と車内を楽しめたのもいい経験だった。 我々が最初に乗ったのは「大音量音楽カー、SAG4」だった。峠を上りながらビーチボーイス、ビートルズ、そしてVanHalenを大音量で流しながらライダーを通過していくと、ノリのいいアメリカ人ライダーは、サドルの上で思い切り腰やら腕を振って音楽に合わせて踊りまくっている。走りに集中しろ、とこっちが言いたくなるくらいのノリの良さである。(笑)

自走時にはさっさと抜いていってくれないかなと煙たがる事もあるSAGワゴンであるが、乗ってみて車内から観察してわかったのは運転手がとても神経を使って運転している事。コースは一般道を走るので、綴れ折の峠道などでは対抗車に注意しながら低速で自転車から充分車間距離(幅)を取って抜いていくわけで、2例併走の自転車などを抜く際には相当気を使っていた。あれを一週間続けるのは大変かもしれない。ご苦労さまです。

なお、通過するSAGワゴンを1週間注目していたが、タンデムが積載されているSAGには遭遇しなかったので、今回唯一SAGされたタンデムという名誉を仰せつかったかもしれない。(笑)

SAGワゴンのSAGが何を意味するのか、ということについてメンバーで何度か話題にのぼって、大文字表記だから業者の固有名詞だ、サグバッグのサグだ、Support Assistance Guideの略だ、と色々意見が出た。調べてみると、「SAGワゴン」はCycle Oregon固有の表現ではなく、(自転車ツーリングイベントにおける)回収車を指す一般用語らしい。Sheldon Brown's Bicycle Glossaryその他資料によると、SAGの由来には幾つかの説があるらしく、sagという動詞((意気などが)弱る)から来ているという説と、Support And Gearの略だという説が有力らしい。

Sheldon Brown's Bicycle Glossary : SAG Wagon - http://www.sheldonbrown.com/gloss_sa-o.html#sag


まきさんと森さんのタンデムペアが途中休憩中のレストストップでSAGワゴンを降りて先に出発。二人を出し抜いて先に頂上に到着してしまった。すまん。


いやぁ、遅かったねぇ~


峠を登りきったら現れた広野。(ブラウザの表示幅を最大にして、4枚の画像を横一列に並べるべし)


滑らかな下り基調のルートを経由して午後5時過ぎにStarkey到着。この日のキャンプはどうやら放牧地に。 か?)でしたが、到着したら既にテントが設営されてるのは何よりも有り難い。シャワーのタンクが空になって給水車待ちしたり、お湯が出たり出なかったりする不便さもきっと良い思い出となるはず。夜中にトイレに立つ回数も次第に減り、パッキングも手早くなって、自身がキャンプ生活に馴染んでいくのが分かりました。


昨日に引き続きゴールで冷たいココアミルク500mlを配られてクールダウン。

Chocolate Milk...炎天下を100Km走ってきたゴールで毎日出迎えてくれるのがキンキンに冷えたチョコレートミルクだった。今年のCycle Oregonでは、Alpen Rose Diaryがチョコレートミルクをライダーに提供していた。氷一杯のバケツの中で冷やされたそれをゴールラインその場で一気に飲み干すのが”儀式”となり、ゴールしたという達成感を感じながらひとまず喉を潤してクールダウンしてから、自分のテント(サイト)を探しに向かうのが日課となっていた。普段は甘く感じるだろうチョコレートが丁度よく感じたのは走り終えた疲れのせいか、なんのためらいもなく500mlのパックを1個半((た)さんの半分)、毎日一気飲みしてRECOVERYしていた。

一面に広がる黄色いテント。三泊目にもなるとすっかり見慣れた風景である。





September,2006- Oregon,USA
Pentax Optio 33WR

Cycle@nak HOME
CycleReport 2006

[NEXT ->]

Copyright 2006 -@nak.com- all rights reserved